このTシャツの背中には、ジャックウサギとイバラの冠を描いた線画のプリントが入っています。
僕がずっと愛着を持って作り続けてきたデザインで、初登場から数えて何度かの再販や微調整を経ても、構図やモチーフはほとんど変えていません。

いま見返しても、どこか完成しているようで、まだ何か続きがあるような、不思議な余韻がある。そんなところが気に入っていて、これまで変える理由がありませんでした。


今回のリデザインでは、前面にひとつのメッセージロゴを加えました。
LOST and FOUND in the RABBIT HOLE.

直訳すると「ウサギの穴で迷って、見つけた」。
この一文には、「不思議の国のアリス」の冒頭でアリスが時計ウサギを追いかけて、深い穴へと落ちていくあの場面を重ねています。
余談ですが、アリスが追ったウサギは懐中時計を持った白兎。
でも、僕が描いているのはジャックウサギなんです。
ジャックウサギは北アメリカに生息する野兎で、耳が長く、足も速い。
分類上はアナウサギではなく野兎(Hare)にあたるのですが、なぜかその名前には「Rabbit」という言葉が使われている。
そのあたりの曖昧さや、ちょっとしたズレに、逆に面白さを感じてしまいます。
しかも、このジャックウサギには、アニメ『Looney Tunes』に登場するバッグス・バニーのモデルになったという説まである。
不敵で皮肉屋なあのウサギと、このTシャツの静かな表情のウサギを並べてみると、そのギャップがまた良かったりして。
本筋に戻りましょう。
このTシャツの中心には「迷い」と「発見」がテーマとして流れています。
自分の中にある未整理なものを抱えたまま、靄の中をさまようような気持ちの日があるかもしれない。
あるいは、何かを乗り越えたときに、パッと目の前が開けるような感覚を憶える瞬間があるかもしれない。
「迷った末に、何を見つけたのか」
それは、他人に話さなくていいし、話せないかもしれない。
でも、その答えは確かに自分の胸にあるという確信が、少しだけ勇気をくれることがある。
そんな風に思って、このTシャツを作りました。
僕自身が、何度もこのデザインに戻ってくる理由も、きっとそこにあるのだと思います。
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