舞台美術『劇団 江戸間十畳本公演Vol.6 [セントラルパーク ウエスト][オールド セイブルック]』
初の舞台美術にして美術監督という大役を務めさせていただきました。
【全体】
今回制作したのはウディ・アレン戯曲[セントラルパーク ウエスト][オールド セイブルック](※白水社『浮気を終わらせる3つの方法』より)のための舞台美術。 戯曲の内容は男女の不倫関係の清算をベースにした現代劇ですが、美術は現実的なセットではなく男女の関係性や生命の誕生を想起させるようなアート空間を目指しました。 舞台美術というよりもインスタレーションのような感覚で制作。 観劇後にはお客様が舞台に上がって展示作品をゆっくりご覧いただける時間も設けました。
開演前にはサーカスのテントや女性のスカートを連想させる筒状の緞帳で舞台を覆い、そこから各演目を象徴するオブジェクトが顔を出している状態で開演前の時間にお客様が自由に想像を巡らせられるよう設えています。 開演時には緞帳は役者が引き落とす形で取り払われ、舞台奥の赤いエリアが視界に飛び込んできます。
赤いエリアに展示されているキャンバスはゲストアーティストとして作品を貸与してくれたドナテラによるアクリル画ポートレート作品群です。 この舞台奥の赤いエリアは中心に女性器をモチーフにした開口部が設えてあり、2演目ともに異なった演出でギミックを使用。 開口部左右にはヒデリーノ作品『Body&Soul』が配置され開口機構と連動して左右に動くようになっています。
【オブジェクト】
回転式二面レリーフ
片面が女性、もう一方が男性の裸体像になっている彫塑作品。 裸婦像は『オールド セイブルック』でキーとなる金庫としての機能が持たされている。 劇中でハルがシーラに隠し金庫の在り処を教え、そこからノーマンの日記が取り出されるシーンでこの裸婦像の胸が開き、こぼれ落ちる花びらとともに日記が取り出された。 男性像の方は『セントラルパーク ウエスト』でアクセントとなっている“多産のお守りの像”。 ミケランジェロのダビデ像をトリミングしたこの彫塑作品は股間の男性器が取り外された状態で配置されている。 劇中にてフィリスとキャロルのやり取りの中でペニスが取れてしまった多産のお守りの像として登場し、以降のシーンでも誇張されたペニスのパーツを弄ぶように使用された。 ペニスは異常に誇張され隆起した状態にアレンジし、グロテスクにならないようディフォルメした形状で制作。
※この作品は一旦解体し、2つのレリーフ作品としてリファインし、仕上げをドナテラと競作する予定。
パネル
2羽のガチョウの首と、女性の脚と並んで拳銃を握る手。 2羽のガチョウは嘴を閉じているのが『オールド セイブルック』の主役の一人サンディの象徴として、口を大きく開いたほうがサンディの夫ハルの象徴としてイメージし制作。 セクシーに脚を組んだパネルは『セントラルパーク ウエスト』で稀代のプレイボーイとして多くの女性と関係をもつサムの行動の象徴として、脚に並んで女性の手に握られた拳銃は劇中クライマックスでドイツ製半自動拳銃を構えるジュリエットをモチーフにした。
2演目それぞれの象徴として開演前から舞台上に設置されたこのパネルは、観客の想像力を掻き立て、観劇後にはなるほどアレは…と結べるような仕掛けとなることを期待した。
※ガチョウのパネルは公演終了後に売約済み。 女性の脚のパネル:長辺137cm短辺約74cm(拳銃を握る手はガチョウとともに売約済み)は20000円にて販売いたします。 お問合せはこのページ下部のメールフォームより気軽にお送りください。
【スケッチ】
今回の舞台美術のために描いたスケッチ群から抜粋して数点を掲載します。
舞台美術 劇団江戸間十畳本公演Vol.6 公演情報ページ
公式舞台写真:『セントラルパーク ウエスト』『オールド セイブルック』
作品形態:舞台美術一式
舞台寸法:幅約7m 奥行き約4.3m
制作時期:2016年2月初頭~4月19日(打合せ期間含む)
ゲストアーティスト:Donatera ウェブサイト
クライアント:劇団 江戸間十畳 ウェブサイト
会場:宮益坂十間スタジオ ウェブサイト
販売可能作品:女性の脚のパネル 木製 幅約137cm 高さ約74cm 20000円(送料別)